1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】



「では、仕事の説明をします。まずはラミカ様、……いえ、この家につかえる者としてラミカさんとこれからは呼ばせてもらいます」


「皆吉さんのほうが年上だからラミカでいいですよ」


「そうですね。ではラミカさん、まずはトイレ掃除からお願いします」


「え? あの、だから……」


「仕事場の地下とゲストルームの隣と二階のバスルームの隣三ヶ所を15分以内で」


「ええ!?」


「出来ないのですか?」


「全然余裕で出来ますけど、トイレが3つもあることにビックリしちゃって」



あははと能天気に笑うあたしに皆吉さんは若干冷めた目で見てきた。



「きちんと後からチェックしますからね。では、ラミカさんすぐに着替えてお願いします」


「いや、だからラミカで」


「ラ ミ カ さ ん。早急によろしくお願いします」




笑みは絶やさずに皆吉さんは部屋から出ていった。


……よーく分かった。皆吉さん、あたしから仕事を取られるのが嫌なんだ。


杏さんの『続けられたらね』の言葉の意味も分かった。





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