1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】
体が自由になった瞬間、あたしはお兄さんに抱きついた。
「助けて! お兄ちゃん!」
「は? お、お兄ちゃん?」
「あたし、バイトしてきちんとお金は返すから風俗だけはやだよ!」
泣き叫ぶあたしの声がかき消されたのは、割れてしまうほどの強さでおじさんが握りこぶしでテーブルを叩いたから。
「あんな、ねーちゃん。親父さんの借りた借金の額は300万だ。女子高生の普通のバイトじゃ、せいぜい時給は千円だ。月に返せる額は利子だけ。その間にもどんどん借金の額は増えていく。悪循環なところを救済してやろうって言ってるんだよ」
300万……利子……
そんな大金、確かに女子高生のあたしには無理だ。お父さんの顔が思い浮かんできた……。あたしの体で返せば、お父さんは喜ぶ?
だけど、あたしはお父さんが嫌いになるよ……許せないよ。そんなふうになりたくないけど選択肢はひとつしかなくて……また涙がポロポロとこぼれ落ちていく。
「アニキ、こいつのことは俺に任せて貰えませんか?」
――え?