もう、暴れないで
「涼…。」
「その顔じゃ、もう知ってんだな。」
ハハッと笑う涼。
停学処分だって言うのに、いつもこう。
余裕ぶっこいて、ポジティブ。
「知ってるも何も、皆もう知ってると思うよ。ねえ、涼、もう止めてって言ったよね…?」
「悪ぃ。」
頭を少しかいた。
「って言っても…。涼は覚えてないんだよね、しょうがないよね。」
「まあ。なんも。何も覚えてない。」
キッパリと言う涼。
「もういいから、次はもう、だめだよ。退学になっちゃ、やだからね。手、見せて。またケガしてるんでしょう?」
涼の手を取る。
やっぱり。
また新しい傷が増えてる。
でも、いつも傷があるのは拳だけ。
体に出来た傷は稀にしか見ない。
「今回もここ以外はケガ、ない?」
「ない。」