偽りのお嬢様
「ただいまー。」
「お帰り!詩苑お姉ちゃん!」
「ありがと、未苑。」
一番最初に抱きついてきたのは、末っ子の未苑(ミオン)。
今年で5歳になる。
「未苑!お姉ちゃん苦しくなるでしょー!」
そんな未苑に渇を入れたのは希苑(キオン)。
今年で10歳になるしっかりもの。
「詩苑!ご飯!!」
偉そうに言うコイツは苑(エン)。
一番上の兄貴。
私達は4人兄弟。
「お兄ちゃんいたの。バイトは?」
「辞めた。」
「はぁ!?」
こんな事も日常茶飯事。
理由は怒られたからとか上司が気にくわないとか。
ダメ男という言葉がよくお似合いで。
兄ちゃんさえしっかりしてくれれば私はあの戦場から抜け出せるのに…。
でも居間で寝っ転がってせんべい食べながらテレビ見て爆発してる人には無理か…。
「さ、ご飯だよ。」
テーブルにはさっきの勝利品とご飯、玉子焼きを並べた。
「凄い!お肉だぁー!」
「お姉ちゃん頑張ったね!」
「ありがと、希苑。」
「じゃ、食うか!!」
兄ちゃんはこう言う飯の時だけイキイキするよね。
ま、いいけどさ。
「頂きます。」
手をあわせて、箸で玉子焼きを口に運ぶ。
うん、美味しい。
「そういえばさ、来月じゃないか?母さんの命日。」
「あぁ、そうだね…。」
来月か。
もうそんなに経ったっけ。
でも母が死んでからもう4年経つんだよね。
早かったなぁ…。
「来月、墓参り行くからその日あけとけよ。」
「わかった。」
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