【完】無知な彼女の周り


―――1時間後


まだまだ肌寒い季節
頭から水を被ったから体の芯まで冷えきってしまった
床はタイルだし
和式トイレだから座っていられるスペースも少ないから立っているしかない


そして、私は影が薄い登場人物だから居なくなったことを気に掛けてくれる人もいない。だから、普通は気に掛けてもらえるような主人公だけがこういう目に遭うんだ。


私みたいな脇役はこのままホントに衰弱しちゃうかもね


って呑気な事言ってる場合じゃないよね

ドアは一応外から見たら外開きだ。つまり、中から押せばいい。蹴ってみるか


ガンッ―

ガンッ―


うわぁ、無反応……
どんなけしっかり留めたんだよ…

にしても寒い
体温ってもんが無いくらい寒い

外はもう暗い
もちろん電気もついてない
物音もしない


…よし、寝るか
寝て起きたらどうにかなってるかもしれない。死んでるかもしれないけどね

床のタイルの上に着ていたブレザーを置いてその上に小さくなって座る
キツい姿勢だが仕方ない



じゃあ、おやすみ



< 27 / 74 >

この作品をシェア

pagetop