【完】無知な彼女の周り
―冬紀side―――
いきなりの遥花ちゃんからの電話は舞い上がるほどうれしかった
だって、嫌われてるって思ってたから
でもなるべく平常心で…
「もしもし?」
「…あ、冬紀?」
久しぶりに聞く前の遥ちゃんの口調、それだけで口元がニヤけてるのが分かる
「本題なんだけどね、可奈子ちゃんの事好き?」
「…え?なんで?」
なんでそんなこと聞くんだろ…、僕そんな素振り見せたこと無いのに
「気持ち知りたいなぁって思って」
「す、好きだよ?でもね、それは…」
友達としての好き。って言おうと思ったのに
「そうなの?知らなかったー!!じゃあ、デートとかしたいよね?」
「ちがっ…」
話は勝手に進んで
「どこにしようね?温泉旅行とかいいね」
「だから…」
遥花ちゃんは僕の言うことなんて聞いてなくて
「また、当たったってことにしてさ」
「……」
まるで僕なんてどうでもいいみたいに
「いいね、そうしよう!!」
「…もう!!遥花ちゃん嫌い!!」
「…は?」
とっさに電話を切ってしまった。しかも『嫌い』なんていってしまった。僕はそのまま座り込んだ。全く僕の想いに気付いてくれない本人、長いこと幼なじみやってきたのになぁ…
まだまだ想いを伝えることなんてできないんだろうな…