【完】無知な彼女の周り
□怪しい仲
「…で?何してんの?」
「何だろうね?」
「へぇ、じゃ、さよなら」
とぼけたフリしてずっとニヤけていて感じ悪い。こんなのの相手する暇なんて持ち合わせてない。
「まぁまぁ、似たもの同士仲良くしようよ」
「お前と私じゃ天と地ほどの差がある」
「いや、ないね」
しつこい!!わずらわしい!!何だこいつ
何でもかんでも言い返してきて。少なからずも私はこんなのじゃない!!
「で、名前は?」
「は?」
「君の名前だよ」
「さぁ、なんだっけ?」
もうこうなったらとことん馬鹿にしてやる
「あれぇ?名前も知らないの?」
「そーなのー、あなたに教える名前なんてないって頭が言ってるの」
「ふざけた頭だね。脳みそも入ってないくせに」
「あら?お互い様でしょ」
「君、嫌なやつだね」
「あなたよりマシよ」
「君のほうがタチ悪い」
「いや、あなたのほうが…」
笑顔でのにらみ合いを続けて、不意に学校のほうを見ると、不良がこっちに向かって歩いてくる。下を向いてこっちには気付いてないようだが…でも時間の問題だ
「どうした?オレの勝ち?」
くすくす笑って、あきらか私を馬鹿にしてるこのわけの分からない男。でも、今の私は目立ちすぎなんだよ。どうにかこの危機から逃れないといけない。そうなってしまったら、こんな男でも仕方ない
ギュッ―――
「は?ちょっ」
この男に私は抱きついた。男もびっくりしてる。まぁそれはそうだろう、さっきまでケンカしてたんだ。急にすぎるんだろう。
「いいから、もう少しこのままで」
「なに?欲求不満なの?」
「ばか。そうであってもお前のところへは行かない」
「じゃあ、なに?」
「気にするな、お前は芝居しててくれたらいいんだよ。得意だろ?」
「フッ― 女の子がだろなんてつかっちゃいけないよ?」
鼻で笑って、芝居をしててくれてるのか、手を後ろに回してきた