【完】無知な彼女の周り
「おはよー」
いつもよりニコニコ顔で教室に入る。今日は朝からホント機嫌が良い
「どうしたの?機嫌良いね」
いつもはうっとおしいメガネも苦じゃない
「明日のこと今聞いたんです」
「ふーん、そんなに楽しみ?」
「もちろんです」
だって、滞っていた話が進むんだよ?うれしくないはずがない
「ふふ、かわいいねぇ」
「やだぁ、冗談やめてくださいよ」
こいつがタラシってことももう忘れてた。でも、今の私にはもうどうでもいいのよー
あー早く明日に!!
今日はいつもより1時間は長く感じたけども、今日1日、ずっと妄想パレードだった。どうくっつくかとか、誰がどう口説くかとか、そんなことばっかり考えてたら、放課後になった
「遥花ちゃん、久々に一緒に帰ってもいいかな?」
「いいよ」
門を出て、少し歩いたとき、冬紀が話しかけてきた。一緒に帰ろうなんて、目立つからいつもなら断わるけど、今日の私はもうYESMANだ。何でも来い。どーんと来い
「そうそう、明日の集合場所は8時に駅前だよ」
「わかった」
「そんなに楽しみ?」
「うん」
今日の私は周りから見たらまるで不審者だろう。一人でニコニコしてて
「あれ?遥花なにしてんの?」
あー、でもこいつは来なくてよかったじゃないのか?一気に気分が落ちる相手。偽彼氏、誠くん
「誠こそ、今帰り?」
「あぁ、で、隣はだれ?」
「幼なじみの冬紀よ」
なんでこいつ芝居がかってんのよ
「冬紀、この人は、私の彼氏…の誠」
「え?彼氏いたの?!」
「あぁ、ここにいるよ」
肩に手を回してきた誠。要らないねこんなやつ
「へぇ、まぁいいよ。じゃあ、遥花ちゃん、明日8時、駅前だよ」
そういって去って行った。
いや、ちょっと待てよ、最後に冬紀、しゃべったよな?いっちゃったよな?
「へぇ、明日どっかいくの?このイケメンの彼氏を置いて?」
「はぁ…」
またあの憎たらしい笑みを浮かべている