【完】無知な彼女の周り
□出発
「ってことで連れて来てしまいました。私の彼氏の誠です」
今の時刻は、8時ちょうど、みんな集まって、軽い説明をした。こいつを連れてきてしまったわけを
「彼女が知らない男と外泊なんて許せませんからね」
これは正論なんだろう、たぶん。だれも口出ししないから
「まぁ、いいんじゃない?」
メガネが適当に答えて、やってきた電車に乗った。だれも何も話さなくて、なんとなく険悪な雰囲気。私と誠は一番前に座り、その2つ後ろに2人2人、1人で座ってる。私は誠の肩に頭を乗せてみる。そして小声で
「お前が来たから、険悪なムードになっただろう」
「ふん、彼氏役を頼んだのはだれだよ」
「そうだけど、ここまで、彼氏らしくしなくてもいいだろうが」
「オレは完ぺき主義だからね。適当なことは許せないんだよ」
「言ってろばか」
私だって素で話してるつもりだ。できたら誰にも聞かれたくない。つまり、小声+近くで言う必要があるんだ。あ、でも、心地いいな、人の肩って
「おい、うとうとするなよ」
「ん、でもいい高さなんだ」
あ、やばい、寝てしまう。
ガンッ――
「いったー…」
誠の石頭で頭同士をぶつけやがった、痛いし、眠気は飛んでいった
「寝るなっつうの」
「寝たっていいじゃないか」
「寝たら身動きが取れなくなる」
「あっそ、」
やっぱりこいつは嫌いだ