【完】無知な彼女の周り
不意にネックレスがたくさん入ってるショーケースに目が止まった。ショーケースって言っても、1本1000円ほどの高くないものばかりだが、でも、私の目線はそれじゃない。そのネックレスに紛れ込んでいるたぶんここの市のゆ、ゆるキャラだろうかその小さなフィギュアが置いてある。うーん、にしてもなんて顔だ。怖すぎるではないか。こんなのの着ぐるみが来たら
子供…泣くぞ?
「すいませーん、これひとつ」
私の肩をなれなれしく抱くのはメガネしかいない。
「かしこまりました」
店員が取り出したのはフィギュアの隣にあった小さなハートの可愛い感じのネックレス
「はい、後ろ向いて。つけてあげる」
え?可奈子ちゃん宛てじゃないの?私ですか?いらないよ。邪魔なだけじゃないか。なんて否定してみたいけどまぁできないから後ろ向くしかない。そして鉄のひんやりした感じが首に伝わる。
「ありがとうございます。大切にしますね」
とりあえずお礼だけ言っとく
はぁ、どうしようこれ…
「うん。そうしてくれたらうれしいな」
そういうとメガネは顔を私の耳に近づけて耳元でささやいた
「もちろん、彼氏には内緒でね」
「そうですね」
笑顔で答えるとメガネはびっくりした顔をしている
「なんか、いつもの笑顔と違うね」
あ、今のは無意識だったかもしれない。なんか彼氏って思い込んで、それは私の思い通りのことで、なんか、とてもバカバカしいなって思えて笑ちゃったんですよね
「なんか、今日可愛いね」
今日だけか!!って思うが、まだ言われるだけマシかな?
「遥花、なにしてんの」
「ううん、なんでもない」
なんできたよ誠くん。それより今までどこ行ってたんだよ
「なんでもなくないよね?」
突っかかるなって。ややこしいなぁもう
「あ、ねぇあっち行こう?」
はぁ、なんでこいつに気を使わなきゃなんないんだよ