【完】無知な彼女の周り
その後すぐのこと、一瞬、時間が止まったかのようにみんなの動きが止まった。視線はあきらかに私のほうを向いてる。なんだよ、本気で笑ったらいけないのか。どうせ、区別なんてついてないくせに…
「…どうしたの?みんな」
止まったままだったから、聞いてみると急にあわてたように動き出し、せっかくの温泉も満喫しないままあがることになってしまった
「あー気持ちよかったね」
「そうだねー」
何事もなかったかのようにふたり、体を拭きながら話していると、主人公が
「でもさ、ほんとタオル巻いててよかった。よく分かったね。どうして?」
どうしてって、ありきたりだからなんていえないし…
「あー、わたしね、いつも温泉入るとき巻いてるのよ」
って言えば何とかなるよね
「ふーん」
まぁ、納得はしてないみたいだけど、追求してこないからいいか
あー、にしてもあのときの冬紀の顔は笑えた
脱衣所から出て、待ってたみんなと一緒に夕食を食べに行く途中、みんなは心ここにあらずって感じでぼ-っとしてた。私と冬紀を抜いて
「ホントに面白かったの」
「だって遥花ちゃんが急に…」
「だからってそんなに驚かなくても」
「だってー」
今は仲良くなくたって、幼なじみだ。話は合うし、話しやすい。そう思うとなんだか昔に戻ったみたいで、なんかうれしかった。