【完】無知な彼女の周り
「じゃあ、残り少ない学校生活を楽しんでください」
「はい。すいません、ご迷惑をおかけして」
「いいえ」
もう書類には全部サインして、あっけなく退学というのが決まってしまった。
「あの、先生、私が退学することを生徒に言わないでください。お別れが寂しくなります」
「あぁ、分かった。絶対にいわないさ」
「ありがとうございます」
「さ、遥花、先生も忙しいでしょうし、帰りましょ」
「先生、お世話になりました」
お母さんがそういって、私たちは職員室を後にし、家路につく
「ねぇ、お母さんも、冬紀には言わないでね」
「えー?あんなに仲良かったじゃない」
「だからよ。バイバイなんていわれたら寂しくなるもん」
なんて、ウソだけどね。冬紀伝いでみんなに知られたくないだけさ
「そう。遥花も変わったね、昔からあんたは鈍くて、人の気持ちどころか、自分の気持ちにすら、気が付かなかったじゃない」
「そんなことないよ」
気付かないんじゃないよ、知らないだけで
「ねぇ、今日、私こっちに泊まるの。だから、晩御飯何がいい?」
「んー、お母さんのロールキャベツがいいな」
「じゃあ、食材買いに行きましょ」
そうして、夜は更けていった