【完】無知な彼女の周り
「な、なんですか」
隣の不良がジーッと私のお弁当を見てた。
「いや、うまそうだなぁと思って」
不良はたぶんいつもパンなんだろう。だってありきたりだし、不良だし。
「あげませんよ」
「…ッチ」
舌打ちされた。私は悪くないよ。今日は珍しくお母さん作なんだから
「どうせもらうなら、可奈子ちゃんのもらったらどうです?」
私は反対を向いて無断で話に夢中の可奈子ちゃんのお弁当から玉子焼きをもらった
「ほら、いらないんですか?」
また不良のほうに向き、玉子焼きを持った箸を不良の前に出す。
すると不良は鼻で笑って、玉子焼きを一口で食べた。
「おいしいですか?」
「まぁまぁだな」
「可奈子ちゃんに失礼ですよ」
そのとき気付いたが、みんなこっちを見たまま黙ってしまっていた
なんだ?みんなそんなに可奈子ちゃんの玉子焼きが食べたいのか
「ひゅーひゅー!なによ見せ付けてくれちゃてー」
可奈子ちゃんが、変なテンションで絡んできた
「あ、玉子焼きもらったよ」
「そういうのはもらう前に言うものです。でもいいよ。いいもの見れたから」
…いいもの見れた?
も し か し て、不良に玉子焼き食べてもらえたのが嬉しかったとか?!
ってことは、可奈子ちゃんは不良のことが好きなのか?!
うん、ありえるぞ。第一印象が悪かったり、初めに会う人ってのはくっつく確立が一段とあがるもんだ。だいたいそうだ!だってこれってありきたり!
どうしよう、テンションがあがってきた!だって、主人公の好きな人が見つかったんだから!
「へへー、よかったですね」
あまりの嬉しさに、素のまま不良に笑いかけてしまった
「何がよかったのかは知らんが、そのだらしない笑顔をどうにかしろ」
そういって顔を片手で覆われた。なんてやつだ
そうこうしてると、予鈴は鳴り、みんな慌てて片付けをして、教室に戻り、
そして、また1日が過ぎていった
やっぱり、今日はいいことがあった。