かたっぽうの恋
あの肝試しで、私と二宮くんの仲は、
グッと近づいた。


学校でも、挨拶や、たわいない会話もできるようになった。



「にっ二宮くん、おはよ!」


「ん、岸本さん、
おはよ!あ、売店のクリームパン美味いって知ってる?」


見つめていただけのころから考えたら夢みたいな気分で、話せることができたらふわふわと幸せだった。





中学二年では、
同じクラスになれた。


一年の時には見られなかった、
クラスでの二宮くんを見た。


席替えの時、隣の席になりたくて、
こっそり隠れておまじないをした。


二宮くんの背中に向かって、
心の中で「ぱんだぱんだ」と念じるおまじない。


こんなのバカみたいとわかってるけど、
席替えにいたっては、おまじないに頼るしかないと思う。


隣にはなれなかったけど、
背中に念じたおかげかな?



後ろの席になれた。


二宮くんの大きな背中で、
黒板が見にくいけど、平気だよ。


二宮くんからプリントがまわってきたとき、泣きそうになっちゃうよ。


二宮くんが振り向いた時に、
ほんの少しだけ顔が近くなるもん。


心臓が壊れそうになる。


二宮くん、好き、
好きすぎて死んじゃうよ。



もっと近くなりたいと思った。
< 10 / 230 >

この作品をシェア

pagetop