かたっぽうの恋
「…わかんない、でも二宮くんが月島さんを好きなら諦めるつもりだった。」


「俺は絶対に出来ない。」



すごくはっきり言うんだね。


「俺なら意地でも自分の女にしたい」


どうしたのかな?こんなに熱く語る先生、初めてかも。



 階段を一歩一歩昇っていく、階段を上りきると、先生は私へと振り向いた。


あれ?なんか、しょぼんとした顔してる。



「でも、今はちょっと違う」


「え?」




「お前のそんな顔、見るくらいなら……」






先生……?
よくわからないけど…。


私は先生のジャージの裾をツンツンと引っ張った。




「私、先生がそばにいてくれてよかったよ」


「……なに、急に?」


先生がいなかったら、こんな風に二宮くんの気持ちや月島さんの気持ちを知る事は無かった。


たしかに失恋は辛い、だけど。先生がいてくれたから、涙を拭いてくれる人がいたんだもん。


「私、告白してないけど。後悔してないよ」



先生は目をまんまるくした。照れたのか、目を泳がしながら頭を掻くと。



「さっき泣いてたのは、どこの誰だよ?…」




「うっ、私はもういいの! 先生が暗い顔しないでよね」






「………ばか。」





――え?……っ!



私の頭に先生の手の平が乗っかり、優しく撫でてくれた。



「……お前のそういう所。俺、好きだ。」


……ええっ!?

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