かたっぽうの恋
「開いとるから、入り」

たしかに保健室の中からの声だった、

ん?、え?



「失礼…します」

さっきの威勢はどこに行ったのか、
俺はすっかり、弱腰になっていた。



俺の実習の担当をしてくれる
翠川高校の保健医。



「藤原 薫、養護教諭や。よろしく」



保健室の先生という、
俺なりの勝手な妄想で決めつけたのは申し訳ないが…


まさか、こんなに
色黒で男臭いやつか出てくるとは思わなかったね。



女じゃねえところで俺の妄想は終わってんだけど…



「…はあ、がんばろうと思います」


「なんやねん。元気ないやんけ
保健室の前では事務員と騒んぎょったくせに」


なんで関西弁だよ!!

しかも背も高いし、体もしっかりしてる。
ガッチリ系だ。


保健医じゃなく体育教師でしょ!?
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