かたっぽうの恋
緊張の糸が解けたものの、
すっかりやる気を失った俺。


話しを進めるため指導室へ移動。


「ま、座り」

藤原先生に言われるままに、
俺はソファーに腰掛ける。


藤原先生は白衣をなびかせ、
隣の倉庫室へ移動する。

どうやら、コーヒーを煎れてくれるみたいた。


「ははは、俺の名前見て
女や思たんか。アホやなあ~
残念やったのう、こんなおっさんで」


いや、おっさんていうほど老けてはない。


「でも、人が良さそうな方で安心ですよ」

「俺?、まあ…たまにイタズラするくらいやし、悪い奴ではないな」


イタズラすんのかよ。


藤原先生が片手にマグカップを二つ、
もう片方にポテトチップスを掴み。


倉庫室から出てきた。


「まあ、のんびり話し進めんべ」

ゆ、ゆるい。
実習のガイダンスを大学で沢山して、
オリエンテーションでの礼儀とやらの話し聞いたが、こんなにゆるいならガイダンスの意味ないな。


「あの、藤原先生…」

「んあ、なに?」


う、もうポテチ食ってやがる…



「そっちの部屋って倉庫っすよね?」

「そやで?、倉庫やのにベッドもキッチンもあるきんな」


おいおい。
倉庫にキッチンって(笑)


「―――あ、眠なったら使ったらいいきんな、ここで日誌も書きゃいい」


寝ていいの!?



「学ぶもんは学んで、眠なったら寝る。
でも仕事中に寝んなや、放課後とかにしろ」


だったら帰って寝るよ!!


「あと、女は連れ込んだらあかん。」


んな事するわけないだろ!!

なんでそんな事ばっか言うんだ?
……まさか。



「もしかして、先生したことあるんすか?」


「…いろいろあんねんで、大人って」



俺、ここで大丈夫かな(泣)



その後は真面目に実習期間の話を進め、
俺は藤原先生と携帯のアドレス交換をした。





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