かたっぽうの恋
俺も修も目を合わさず、
でも互いの声に耳を傾ける。



「眞央ちゃんに今必要なのは、
相談ができる相手じゃねえかな。
気持ちを受け止めてくれるような」



俺は手にしてるフォークを、
修に向ける。



「誰かが、突破口を作ってやらねえとな。」


「……突破口。」


「修なら作ってやれるよ。大丈夫だ」


大好きな妹のために、
落ち込めるお前なら、




修は、目線を伏せて、
小さく微笑んだ。


「そうだな。うん」



そして。まっすぐ俺を見た。


「やっぱり養護教諭は違うな、相談して正解だったよ。」



「大袈裟だって、ま。
俺が直接 妹ちゃんの相談相手、してもいいんだけどな」


なーんちゃって、あはは。



「それはだめだから。」




はは…、あ。



「早く食べろよ、ハンバーグ冷たくなるよ?」


「………いただきます。」



冗談なんだけど、
そう きっぱり言われると
冗談でも傷つく…。


「ところで、理一はなんだよ
相談あるって電話で…。」


「あ、うん。
実習先で気になる子がいるんだ」


「―――実習先って、高校だろ?
だ、だいじょう…ぶ、それ。」


「実習だし。ん」


俺は小さく親指を立てた。


「その子と仲良くなりたいんだけど、
なかなか会えなくてさ…。」



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