かたっぽうの恋
俺、今すっごい最悪な人間だ。
フラれてしまってほしいって思ってる。



最初から最悪人間だった。



眞央と指導室で知り合えて、最高にツイてると思ってさ、神にまで感謝したあの瞬間。

眞央に好きな男がいる事を告げられた挙げ句。恋の相談なんかされて、感謝したばかりの神を地獄に落としたくなった。 あの日


だけど、考え方を変えれば これは俺にとって、チャンスなんじゃないかと思った。
ひとりの男としては無理でも、カウンセラーとしてなら…。



思った瞬間に言葉にした。




『俺、お前の恋の応援する気になったわ』

嘘で本当の言葉。




恋を応援すると言いながら、そんな恋…早く忘れたらいいんだと思っていたのが事実。


カウンセラーの立場で応援していたのも事実だ。


だけど、俺自身の気持ちでは応援なんか、とても出来ない。




だけど…




そんな俺の気持ちを溶かすように涙を流して、泣いてばかりの眞央。


二宮の事で、他の男の事で泣いてる眞央を見るぐらいなら 俺はお前の背中を押したい。


告白して、上手くいくかなんてわからないよ。もしかしたら フラれて泣いて帰ってくるかもしれない。 もしかしたら……うわ、言いたく無っ!!





「お前は出さないのか?」

「え?」

「 プ ラ イ ド 」

「………」




言葉では偽りを呟く、でも


俺は眞央の顔に触れた。




たしかめたかった。

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