かたっぽうの恋
こうしてる今だけは、眞央が俺のそばにいるんだって。



本当はずっと、このまま。





「指導室で俺と初めて出会った時、叫んだ言葉を二宮に伝えて来るんだ。」






(「私は、―――二宮くんの事が大好きだぁぁぁぁぁ!」)






「でも、どうせフラれちゃう」



――っ!



「違う。」



俺は我に返り、眞央の肩に手を置き、顔を見ないで俯いて言った。


これは、カウンセラーとしての俺、

なにも伝えないと答えは一つしかない。
だけど伝える勇気を出ぜば、答え二つ。



Aか、Bか。


実るか、実らないかだ。




「伝えてこい、三年間も恋してたんだろ?」




押し出した背中を、俺はいつからこんなにも愛しいと思うようになっていたんだろ。


俺の手から離れていく温もりを忘れたくなくて、思わず伸ばそうとした手を引く。


俺の気持ちは消そう。


大切なのは、ひとつ。




眞央。お前の気持ちだけなんだから





「先生。」



え、―――?、

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