かたっぽうの恋


携帯の画面に送信完了のメッセージが出る。



「よし、とりあえず教室に向かおうかなぁ…」


ブーブーブーブー…、
手にしていた携帯が震えた。


「わっ!え、美保からメールだ!
はや~」



両手で携帯電話を持ち、
ゆっくり操作してメールを開く。



《おはよ(*′艸`)今ね、教室にいるよ!
眞央も普通科で一緒のクラスだから早くおいでよ》




すごい、あの短時間でこの文章を打つなんて、神業だ。


よし、さっそく新しいクラスに行こうかな!



と、一歩踏み出して、
校舎に入ろうとした時、


ドンッ!!


「きゃ!」

「わっ――あっ!」


私と入れ違いに人が出てきて、
勢いよく肩をぶつけた。


私は少し体勢を崩したけど、
よろめいただけで、すぐに立て直した。


「すみませんでした!」


「俺もごめん……」


私はその男の人に一礼して、
階段を上がった。



「……」



びっくりしたぁ、
急に現れるんだもん。


よかった先輩とかじゃなくて、

てか今の人、スーツ来てたけど?

先生かな?

でも結構若かかったし、
それにカッコイイ…あ、


いけません、いけません!
私には二宮くんが!!





気を取り直して、
私はクラスへと向かった。




今ぶつかった男の人が、


これからの私の人生に
大きく関わる事も知らないまま、





それはまた、数ヶ月後のお話。
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