かたっぽうの恋
どうやら、眞央は俺のまじないで止まったのではなく。さきほど二宮と手を繋いでいた、月島ちぐさと何故か出くわしていた。
なんだ、どうなってんの?
まさか……修羅場になったりしないよなあ。
すると、たじたじした眞央が俺に助けを求めるように見つめてくる。
いやいや、俺。出たら駄目じゃん!
なんか、ややこしくなる。
眞央は諦めて、月島と土手の方に降りていった。
それから数分後。
俺は車の外で、修と携帯で通話をしていた。
「いや、だから。妹ちゃんは友達と大事な話ししてんだってば!」
《勝手に人の妹を、颯爽(さっそう)とっ!デートってなんだよ!?》
妹命な修だ。
着信無視しても延々にかけてくる。出るしかねえじゃん…。
「あ、いやデート……。じゃなくて色々あった妹ちゃんに、…気晴らしさせてあげよっかと」
《色々?―――まあ後で聞くよ。それよりだよ!理一。だいたいお前は、ちゃんと先の事まで考えないで、思ったらすぐ行動!直すところだぞ?》
うあ、やば。また説教モードだよぉ…。
「すんませ。」
はあ…。
俺。さっきから謝ってばっかなんだけどね。
駐車場の公衆トイレの横に設置かれている自販機の明かりに照らされている俺は、目の前にいない通話相手に頭を下げて謝っていた。