かたっぽうの恋
《人の妹に妙な気起こすなんて、ロリコン野郎。》


ロッ、ロリコン!?
修からの切れ味のある一言にショックのデカイ俺。



「おいこら、誰がロリコンだっつの!?。」

負けじ魂で俺は言い返す。だけど、ぷんぷんと怒っていた修なのに、いきなり声のトーンが落ち着き、「まあ、お前はどうせ」と切り出した。



「なんだよ?」



《眞央に手を出すような度胸はないよ。その辺は気にしてない。》







なにいきなり…。
それ信用?、ただのヘタレ扱い?





修は「両方。」と笑う。


俺がヘタレだって?笑わすぜ。



「とにかく21時までには送るよ。心配すんな。勝手に連れ出して悪かったよ。」



修が怒った理由は、「夜、勝手に未成年の眞央を連れ回した事」のようだ。









《相手が理一じゃなかったら、俺は警察沙汰にしていた!》

「警察沙汰…。」


《それに、お前今は先生だろ?実習とはいえ》


そうだけど。


《先生と生徒じゃ、妙な気は出せない立場だな。》



………あ、本当!!

言われてみたら、たしかにそうだった。



なんて、今気がついた感じを修に気づかせないように、俺は澄ましたような声を出した。


「だから、変なことなんかしねーって言ってるではありませんか……ぬ?」





ジャリ、ジャリっと足音が聞こえる。


すると自販機の前に座り込んだ俺の前に、砂利を踏み締め近づいてくる人影が見えた。



《なんだよその喋り方。……理一?おい。どしたんだ?》



耳に当てた俺の携帯から修の声が聞こえるが、俺はそっと携帯を降ろし、通話を切ることになった。


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