かたっぽうの恋
自販機の白い明かりで、そいつの顔が照らされた時。通話が途絶えた携帯を手に、すくっと立ち上がった。







二宮 秀司。








春でも夜はまだ肌寒い、だが二宮は汗をかいて、息もあがっていた。



「カウンセラーの…吾妻先生ですよね?」


呼吸が荒くて、途切れながら問い掛けてくる二宮、俺の事を知っているみたいだな。

「そうだよ。君は二宮くんだよね」


「はい、…あの、先生」


「ん?」


「眼鏡かけた、小柄な女の子見かけてませんか?」




ああ。月島ちぐさを探してるわけか、なるほど。つか、つーか!結局、こいつ。



月島とはどういう関係なんだ?



「その子、きみの彼女か?」


さりげなく、調査。



すると、二宮はリトマス紙のように、みるみる赤く顔を染めた。


「ち、ちがっ!おさ、幼なじみです。」



そんなに否定しなくてもってくらいに首を振る二宮。ちぎれるぞ



ガキめ……。
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