かたっぽうの恋

ふたりのヒミツ

※MAO SIDE。

「―――おかえり…」


「「!!!」」


家に帰ると、どす黒いオーラを背中越しに解き放てた お兄ちゃんが玄関で出迎えてくれた。

それに出くわした 私と先生はぐうの音も出ない。



「ジャスト、21時。何してればこんな時間になるのか」



こんなお兄ちゃんを見たのは、私が初めてバレンタインのお返しを貰って帰って来たとき以来だ。


「まあ、まあ~」と私の隣を通って、先生がお兄ちゃんに近づく。


玄関の段差のせいで、お兄ちゃんが先生を王様のように見下ろす形になる。


「午前様よりマシだろ?」


あはは。と笑って、冗談なんですアピールをする先生だけど



「あほんだらっ!午前様でたまるかぁぁぁぁぁ!」


うらぁぁ、と唸り。先生のむなぐらを掴み、なんと持ち上げた。


あの優しい兄が、目の前で身長の高い先生を持ち上げて


「覚悟しやがれぇぇ!!」


鬼のような形相をしている。




「話しと違うじゃんかっ!!信用してるんじゃないのかよ!?」


ジタバタとしながら、抗議する先生。



「時間が経てば治まってた気持ちも爆発すんだぞっ!」


どうやら21時までの間で、お兄ちゃんは天使から悪魔に変化しちゃったみたい。

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