かたっぽうの恋



倉庫の横から上へと、登っていくような足音がする。


その足音は、だんだん 私が見つけた出窓へと進んで行く。



出窓を見上げると、もう外は真っ暗で綺麗な月が見えていた。



ガンガン!!


「ひっ!!」


その出窓を何者かの足が強く蹴りつけている。



「あれ、開かないじゃんか。」




――?






出窓を手探り調べている手が見えた。




「―――あ、わかった。引くんだ、この出窓。」



…………。





ググググッ、ガッバッ!!!!




勢いをつけて引き上げられたら出窓は勢いに乗って開き上がって、新しい風が倉庫の中にいる私へと吹き込んできた。



そして、開いた出窓から月明かりに照らされて見えたのは……。








「っ、ふえ…」





顔が見えた瞬間、ずっと我慢していた。押し潰されそうになっていた不安から解放され、気が緩んで涙が零れ出た。







「見ぃつけたぁっ、眞央!」






スケベで意地悪だって思っていた。




だけど、今 その人は…



「せ、んせえ~~っ、理一せんせえ。うあぁ~~~!」








私を助けに来てくれた、ヒーローだと思った。






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