かたっぽうの恋


「わーーーー!」


慌てて携帯を手に取り、耳に当てた。



「もしもし先生っ!」


『大きな声~』



先生だ、私の携帯から先生の声がするよ!


「先生どうしたの?」


『なにが?眞央が電話したんでしょうよ』


「え、私かけてないよ?」

『…お前、俺を怖がらすつもり?』



え、そんなつもりはサラサラないんですけど…。



『お嬢さんが電話しなかったら、なんで俺の携帯がお嬢さんの携帯から鳴らされたんだよ。心霊現象ですか?』



きっと、私が携帯をベッドに投げた拍子にダイヤルが押されたんだね。


理由がわかりながら、私は「心霊現象かもしれないね!」と冗談で話すと




『お前。今日は俺が眠りにつくまで電話で相手しろ…』



「えっ、長電話はダメだよ!」


『お前が心霊とか言うから悪いんだ。』



先生って、意外と幽霊とか苦手なんだぁ。ひとつ発見。



「ごめんなさい、冗談だよ。先生、指導案がんばってね!」


『…っう、うん。がんばる』


「あんまり長電話したらダメだから切るね。」


『え、眞央?』


「はい?」


『いや、なんでもない。おやすみ』





何か、言いたそうだったような…。
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