かたっぽうの恋
私、今。すごく遠い目をして二宮くんを見つめている。



「な、なんだよ~?」



「私と下校してないで月島さんと帰っていたらタイミングあると思うんだけど~」







ひゅ~っと私と二宮くんの間に風が吹き抜けていった。




「…はは」


どこを見ているかわからない目をした二宮くん、そのまま小さく笑った。



「俺なにしてる…」


がくんっと、ブランコに捕まったまま、足の力が無くなりブラブラ揺れる二宮くん。


「二宮くん?」



こんな無気力なのが丸わかりな体制の人初めてみたかも。




どうしたらいいかわからず、私は二宮くんを見るしかできない。



「…自分でタイミング無くしてどうすんだよ、なぁ」



照れくさそうに言うと二宮くんはブランコに立ち乗りした。




「岸本!」


「うん」


「……お互い、がんばろうよ」


二宮くんは思い込んだ暗い表情を、無理矢理明るくして顔をあげた。


「岸本は吾妻先生に告白するんだな(笑)」


ぶっ!!


「私の事はいいのっ!」

「あはは、岸本の顔真っ赤じゃないか」


うぅ。 悔しい
だけど、二宮くんとこんな風に恋愛の話をするような仲になるなんて思わなかった。


私が、まだ二宮くんを好きのままだったら、こんな風に話す事はなかっただろう。







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