かたっぽうの恋
そう思うと、今のこの光景がなんだか嬉しかった。

そっぽ向いて拗ねる私を宥めようと、手を合わせ謝る二宮くん。



「二宮くんって結構イジワルなんだね」


「そう?」


「そんなんじゃ月島さんに嫌われちゃうよ?」


「うわぁ~(笑)」

「あはは、嫌だねえ~」


「てか岸本、吾妻先生あと2日らしいね。実習」


…………、



「うん、そうみたい」


「寂しい?」


「うん、忙しいみたいだから前みたいに会いに行けないし…」


「遠慮してんだぁ~」


「うん…」


遠慮するよ、そりゃ 。



あんなに忙しそうにしてるの見たら…。



「でも、明日は会えるじゃん!」


「え、なんで?」


「さぁ、明日になればわかるよ!」



そう言うと、二宮くんはブランコから飛び降りた。



「二宮くん、なにか隠してる!!」


「うん、また明日ね!!」


え、ちょ!ちょっと!



二宮くんは私に手を振ると、公園を走り去ってしまった。



公園に残された私は、なんの事か、さっぱりわからずで…。





…………。




公園を出て、帰り道を歩く二宮を外灯の明かりが照らす。

その手には携帯電話。二宮は携帯電話を耳に当てる。



「……もしもし。あのな、ちぐさ………話したい事が」





〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


夜に耐えきれず、先生に電話をしたけど、先生は出てくれなかった。


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