かたっぽうの恋
「いや、聞きたくない!」



もうっ、こんな思いしたくない。


先生と一緒にいた時間。すごくすごく大切だった。


私の中で先生は、必要な人になっていた。



でも、先生は!
彼女がいた。




私はカウンセリングの生徒の一人に過ぎないんだ。


私は廊下に飛び出し、無我夢中で走った。私の足音が廊下に響いた。



「人の話をっ!眞央!」


すると、私の足音と違う足音が融合して来た事に気づいて 振り向くと



「なっ!!」


先生が全速力で私の後を追って来ていた。



「なんで追いかけてくるの!?」

「お前が逃げるからだろ!!」


ものすごく速い。


「来ないでよ!!」


「嫌だね!!」



もうっ、なんなのよ。



私の事なんてほっといてよ!!



そうだ。私はキュッと走る足を止め、廊下の掃除用具入れの横に隠れた。


隠れ身の術。
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