かたっぽうの恋
掃除用具の前を先生が通り過ぎた。


「ふう…」


ように見せかけていたのか、私が先生が走った方を見ると、先生と目があった。


「変態っ!!」

「なんださっきから変態てっ!!」



パシッと、先生に制服の襟を後ろから掴まれた。

「いやぁ、どこ掴んでるのよ!!」

「確保だ確保」


猫じゃないんだからっ!



そんなに力いっぱい私を追いかけて来て、先生は私に何を言うつもりなのかな?



―――もしかしたら。


『お前、俺が好きなのか?俺、ガキとか無理だし~』



…………




やだぁぁぁぁ!!!!!
思えば私は先生より4つ下。あの女性は何歳かな、大人っぽくて先生と同じぐらいな感じがした。

もしかして、彼女?




もしかして、私に彼女を紹介するつもりなの?


昨日の夜に私が電話して出なかったのは、彼女と逢ってたから?






「いやぁーーーーーっ!」

「いい加減静かにしなさい!!話せないじゃないかっ」

「聞きたくなんかないもん!」

「なんでだよ!?」

「先生にフられたくないっ!」

「―――っ!?」




あ…………!?







私、いま……………。






告白………!!
やだ、恥ずかしくて…



いやぁぁぁぁぁぁ!!!


「お願い離してっ!!!!逃がしてくださいぃぃ」


先生に確保されたまま、掴まれた襟のせいで逃げれない。




「…嫌だ」



そして、そのまま背中に先生のぬくもりを感じた。

後ろから抱きしめられた。
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