かたっぽうの恋



すると先生は、私を逃がさないように壁に手を当てた。



「俺もだよ。お前の気持ちわかんなくて、悩んだ…」


先生の声は低くて、スッと耳に入ってくる。

だから聞き逃す事はない、でも本当に聞こえた通りに言ってるのかな?

先生が私の事で悩むなんて…




「俺は我慢してるのに急にベタベタしてきたり、かと思えば逃げたり変な事言ったりさ…」


「先生が、我慢?」



「……実習が終わるまで待つつもりだったけど、もういいよな」




ビクッ!!


壁についていた手が、スッと私の肩に降りてきた。






「俺 眞央が好き」





「―――…!」



頭の中で整理するのに時間がかかる。




「―――…え、」


反応してみたものの、まだ混乱している。



夢でも見ているのかな。
先生が私を好きなんて、そんな夢みたいなこと…。






私は先生の頬っぺたを抓ってみた。


「痛タタタッ!」


「あ、痛いの?」


先生は「何言ってるんだ?」と非常に驚いた顔をした。



――ぷ、面白い顔。




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