かたっぽうの恋
「痛いに決まってるだろ……あと」
頬っぺたがじんわり赤くなっている先生の目がキリッとして私を見つめた。
「さっきのは、いとこなんだ」
「……いとこ?」
「あぁ、……下着のデザイナーでさ。新作を見せられてたんだ…」
「…わざわざ、見せに学校に?」
「あぁ、そういう女なんだよ。楓は…」
楓っていうんだ、あの綺麗な人。
なんだか、安心した。
「ふふふ、よかった」
先生と向かい合ったまま、嬉しさで気が緩んでニコニコしてしまう。
すると、ポコッと頭に先生のチョップが落ちてきた。
だけど、ぜんぜん痛くない。
「よかったって、…返事って事で受け取っていいの?」
「あ、あの……う、うん」
先生は顔を緩ませ、微笑んだ。
「―――じゃあ、俺ら両想いだな~~~」
そのまま私の髪の毛をくしゃくしゃと高速で撫でてくる先生。
「ひやぁっ!」
そんな先生を阻止したくて、必死に抵抗する私の手は、意図も簡単に止められた。
壁にもたれたまま、先生に真っ直ぐ見つめられる私は、身体の力が抜けた。
ゆっくりと腰を降ろしていく。
「―――キス、していい?」