かたっぽうの恋
「え!?そっそんな、恥ずかしいよ」


「俺も、…一緒だよ?」



私を見つめたまま、低い声がそう呟いた。


「私…」





――先生の顔がゆっくり、近づいて来る。



まっ待って!私は先生から顔を逸らした。



「ちょ、ちょっと心の準備させて」


「ドキドキする?」



―――コクンと頷く私。



すると先生は、私の頬っぺたに手を当て、その手にクイッと顔をあげられる。


「っ!!」


「ドキドキしてる眞央、可愛いから大丈夫だよ」


そっそういう問題じゃ!!




「せ、せん……まっ」


「目、つむってろよ」





先生…。







先生に会えない時は、先生のことばっかり考えていた。


初めて会った時から知らず知らずに惹かれていたかもしれない。だから先生に相談しに行ったのかもしれない。



その時は、たしかに私は二宮くんが好きだったけど、気持ちって難しいんだね。







数秒後、数分後、数日後。
なにが起こるかなんてわからない。



その突然の出来事に戸惑う事もあるけど、その気持ちは真実なんだって…、私は今。





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