かたっぽうの恋
好きな人の隣の席。

いつもより真面目な、授業中の横顔。


あなたに気づかれないように、横目で見つめた。



授業中、あなたに届いたメール。


先生に気づかれないように、机の下で携帯見つめてる。


中1のころからなんだよ?


二宮くんを見る癖が嫌になった。



そんな幸せそうな顔して、誰からのメールなの?





「――つきしま、さ…、あ!!」


急いで口元を両手で抑えた。


「え………!?」



二宮くんがギョッとした顔を上げて、私を見た。


やだ………、私。



今 声に出しちゃった!?


私は月島さんの事は知らないはず。



ご、ごまかさなきゃ!!


「えっと、キャラクターの名前。ジブリ映画なんだけど、タイトルなんだったかなって!!」


「あぁ……耳すまだ。たぶん」

「それそれ!今日TSUTAYAで借りようかな~なんて、ど…どもありがと!」


そう言って、私は黒板に書かれた英単語をノートに書く作業に戻った。


「――くす、岸本はジブリ好きなんだな」

「え…、うん。ジブリ好き」

「俺も好き、ジブリならラピュタが好きかな」

「……うん、ラピュタも良いね」



―――二宮くん。
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