かたっぽうの恋
二宮くんは、やっぱり優しい。


私、ビクビクしてた。


もし、月島さんの事を知ってるのか?って問い詰められたら、どうしようって…


思ってるはずだよ、あんなに驚いた顔して、ほっぺたも耳も真っ赤にしちゃってたんだもん。


気づいてないって思ったでしょ?


甘く見ないでよね、
三年間、片思いしてたんだぞ。
















――好き、なんだぞ。






「コラコラ、ミノミヤにキシモト、オシャベリはノンノンノンデース」



蒼い瞳に金髪の英語担当のニコラス先生に注意された。



ニコラス先生、日本語カタコト。


すると、二宮くんはサッと携帯を机の中に隠した。


「すみませー、岸本さんにわからないところ聞いてましたぁ」


「え!?」


な、なにを?


「マジデスカァ!!岸本さんグッドです、じゃあ、ミノミヤ!例題1を読んでください」

「ニコラス先生、俺、ミノミヤじゃないよ、ニノミヤですから」


「ニノ?」


クラスのみんなが笑う中で、私はどんよりしていた。



二宮くん。


やっぱり…月島さんの事が好きなのかな?







「誰がミノミヤだよ、なぁ?」



私に向けてくれる笑顔と違う、あの笑顔。


「ふふ。そだね」




―――いいなぁ、月島さん。

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