かたっぽうの恋




泣きたかったんでしょ?









えっと……えっと、





「―――え、そんな顔してた?」



そう尋ねると、二人はうなづいた。


パタパタ…


モンシロチョウが飛んでいる。




「また言わないつもりかよ?」



……敦子。



「わかるんだからね、眞央の事なんて、わかっちゃうんだからね、私たち」



……美保、ふたりとも





「……すごいね、ふたりは…私、自分が…」



知らなかったよ、私
泣きそうな顔してたなんて。



自分では、笑ってるつもりだったんだよ?
しかも満面の笑みで…。




「えー…、…っん」



ダメだ、涙が出てきた。



せっかくお母さんが作ってくれたハンバーグに涙が落ちた。





私は溢れる涙を手で抑えた。


「うぅっ、ごめっ…」


もう、涙……とまれ。



ギュ…、



敦子に抱きしめられて、優しく頭を撫でられる。

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