かたっぽうの恋
「お前なぁ、本当バカだよぉ。そんな眞央が私は大好きなんだけどなぁ~」


涙が止まらない私を、強く強く抱きしめてくれた。



でも敦子!ちょっと、くるし!!



ギュ!


「っ!?」



後ろから私に抱きついた美保。私より背の低い美保は、私を見上げた。



「辛い事があるなら話してほしいの、眞央に辛い思いをさせたくなんかないんだもん」

「みぼ……、うれじぃ、そんな言ってぐえで」


「眞央は可愛いんだよ!なのに泣いてばっかで、ダメだよぉ、ほら鼻水、ぶさいく!」


ずぴ、



「なんでもかんでも人に頼ってばっかりのやつは腹立つけどな、眞央はなんか頼らない過ぎなんだよ、それが私らは辛いよ」


「私たち、親友だよ、知ってるぅ?」




知ってるよ。


敦子と美保は親友だよ。



そんなの、知らないはずないよ。




「知ってるよ。…私、二宮くんが他の人を好きなの認めるの嫌だ」








私。



ずっと、それを知るのを避けてたんだ。




中庭で二宮くんと月島さんを見た時も、それ以上を見るのが、知るのが怖くて逃げたんだ。



知らないまま逃げて、隠れていた。







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