かたっぽうの恋
「誰だってそんなん知りたくねーよ」





「え?」


敦子は私を見下ろし、私の目をしっかり見つめてる。


「自分の好きやつが自分以外の女を好きかなんて、そんな事知ってご機嫌なやついないぞ?」


「平気な場合は、きっと本気じゃないと思うよ~」


そう言われた瞬間、私は大きなつっかい棒を外されたように楽になれた。




月島さんを見つめる二宮くんを見て、
足が震えて動けなくなった。






平気なんかじゃなかった。


二宮くんが好きだから、そう思っちゃうんだよ。





「眞央、逃げてもいいんだぞ?」



そう言って敦子は、優しく微笑むとキャラメル色の髪が春風に揺れてた。


風に揺れる横髪を耳にかけながら、敦子は言葉を続ける。


「逃げてもちゃんとまた、帰ってきたなら、それは逃げたんじゃないんだよ。
ただの、ひとやすみ、大切な事だ…。」


それは、心の休憩。



「私たちは眞央の逃げ場所だよぉ」




親友のもとにいつだって、休みにいける。




その言葉が、どれだけ私の心を癒してくれただろう。







「さ!、気を取り直して、昼飯食おうっ!」

「そうだね、私本当にお腹ペコペコぉ、食べよ~、眞央」




一所懸命に頑張るのは素敵なこと、たまには休憩もしよう!







また、次。

がんばるために……。



「うん、いただきます!」









モンシロチョウが宙を舞う。



がむしゃらに羽を羽ばたかせ、私の肩に止まった。





がむしゃらに飛んで……、ちょっとひとやすみ。






それも、悪くない。
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