かたっぽうの恋

実習生って?

お昼を済ませ、私たちは教室に戻ろうと廊下を歩いていた。


すると教室から、なんだか賑やかな女子の声が聞こえてくる。


「なんだろう?」

「たく、やかましいなぁ」

「もしかしてぇ、噂の実習生かもぉ」



噂の実習生?


「美保、知ってるの?」


「もちろんよぉ、私ね~、密かに新聞部に所属してるんだよぉ」


「そ、そうだったんだ!」

部活をしてた事すら知らなかったよ。



「マジで密かじゃん…」

敦子も知らなかったみたい。



「噂が好きなの、それでねぇ、1階の保健室の隣に、生徒指導室があるんだけどねぇ、そこ、カウンセリングに使ってる部屋でね」


カウンセリングってたしか、悩みを聞いてくれるって言う……、


私は、その話に興味が湧いた。




「そこが、どうかしたの?」

私は、興味津々で美保に聞いた。


美保もなんだか楽しそうに、私に話しをしてくれた。


「そこの指導室にねぇ、養護教諭の勉強のために大学から実習生が来てるのよ~」


「えぇっ!、だ…だいがくせい?」


その時、私の脳裏に入学式の日にぶつかった男の人が浮かでいた。


うろ覚えなんだけどね…。




「その大学生、カウンセリングも勉強してて、悩みを聞いてくれたりアドバイスもしてくれるんだよ~。しかも噂ではすごくイケメンなのぉ~」



夢見る少女のように、うっとりする美保。



「――美保、その人ってどんな…」



「あ、噂をすれば!」



美保が指さすので、私は廊下の窓から一階の保健室の前を覗き込んだ。







「…!!」



そこにいたのは、うろ覚えだった私の記憶を正確にさせた。




「――あ、」




入学式の日にぶつかった、
カッコイイお兄さん。


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