かたっぽうの恋
しばらくしたら、敦子に美保。田中くんに、同じクラスの長谷部くんが集まった。


「よっし、みんな集まったし
だいぶ日も落ちてきたしっ!」


張り切って敦子が言うと、


「肝試し、始めよ~かぁ~」

のんびりした口調で美保が続けた。




「じゃあ二人一組に分かれよ。くじ作ってきたから引いて」


この準備がやたら良いのは、学年の首位の長谷部くん。


みんなをまとめるのはお手の物。



みんなは、長谷部くんが、簡単に作った爪楊枝のくじを引いた。



くじかぁ。私くじ運悪いからなぁ…


どうか。どうか二宮くんと同じで!


私は引いたくじを見た。



あ、青。


二宮くんは何色だろ?



「お…、赤」


田中くんは引いたくじを、上に高く上げた。


すると、美保が


「――赤?私、けんちゃんとだよ~!」


田中くんの名前は健登(けんと)。


美保と田中くんは幼なじみで、しょっちゅうケンカしてるけど、はたから見たらラブラブ。


「なんだよその声!悪かったな俺なんかで」



「そんな事言ってないでしょ。性格歪んでんだから~」


「うるさい。」


なんて美保はマイペース、田中くんの気持ちも知らないでね。


「――ま、ラッキーとするか」

た、田中くん……、前向きだわ。





そ、それより二宮くんは!?






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