かたっぽうの恋
ようやく手を離してもらえた時には、もう二人の会話は終了していて、実習生が私に「悪かったな」と言った。
そしてお兄ちゃんに、「また来るから」と微笑みながら囁き、帰っていった。
玄関には、少し魂が抜けて若干心ここにあらずな、私たち兄妹がぽつんと残されていた。
―――沈黙の兄妹。
「お兄ちゃんの友達はやっぱりカッコイイけど、変な人よね」
私はボソとつぶやいた。
すると、お兄ちゃんは耳をぴくりとさせた。
「やっぱりカッコイイって言う部分は良いとして、変な人でやっぱりは使わないでよ」
「ごめん、というか…さっきは何を話してたの?」
「何をって?」
「私が耳塞がれてた時、お兄ちゃん一人で騒いでたみたいだけど…」
「べつに、……大学の話だよ」
「そ、そう?」
暗い、お兄ちゃんの表情も声のトーンも…。
大学の話であんなに驚いて、そこまでテンションさがったの?、