かたっぽうの恋



その人影は、




「……っ!」




二宮くんと月島さんだった。





私服の二人が並んで歩いていた。





その間で、繋がれていた手。




……なんで?












「どした~?、UFOでも飛んでたのか?」


なんて冗談っぽく言う実習生さんに、
私は涙目になって見つめた。



「実習生さん…」


「……、ええ!なに泣いてるんだよ!?」





二人は付き合ってないのに、


それを知って安心していたのに…



なんで二人で、こんな日も落ちた夕方に一緒にいるの?


手なんて繋いで、


車は走り続ける、二人の姿は小さくなり
やがて見えなくなった。


実習生さんは途中に通る、河川敷で車を止めた。



泣きじゃくる私の話しを聞くためだ。




「岸本、どしたん?」


普段より優しい口調だ、……



「さっき、二宮くんと月島さんが一緒にいたの…」



「………。」




そっか…、と言って、実習生さんは座席のシートを倒して横になった。



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