かたっぽうの恋
今までの関係を変える、勇気。
「お前は出さないのか?」
「え?」
「 プ ラ イ ド 」
「………」
先生の手が私の顔に触れてきた。
そして、俯いていた 私の顔をくいっとあげた。
「指導室で俺と初めて出会った時、叫んだ言葉を二宮に伝えて来るんだ」
「でも、どうせフラれちゃう」
「違う、告白は実るか散るかでするんじゃないだろ?」
「ただ、好きって伝えるだけだ」
答えは一つしかない。
だけど、伝えないままでは いつまでも一つ。
伝えると答えは二つになる。
少しかもしれない、その確率に
「伝えてこい、三年間も恋してたんだろ?」
中学一年の時、二宮くんに出会った。
なかなか話せなかった、だけど
見てるだけでもいいから、
近くにいたかった。
隣で笑ってくれた時
二宮くんと話せた時
名前を呼ばれた時
手を振ってくれた時、
すごく幸せだった。
二宮くんを想うだけで、ドキドキしていた
ほんの少しの確率に
勝負する。