かたっぽうの恋
2人っきりかぁ、
どうしよう!



なにを話そうかな?


あんまりグイグイ聞いたら、
ひいちゃうって聞いたし!

やっぱり二宮くんの好きな話題がいいよね、あ!野球の話とかいいんじゃ?

だめだぁ、私 野球とかよくわからないもん!


やだよぉ、つまんないやつと思われたくないよぉぉぉ!


「岸本さん、大丈夫?」


「―――わぁっ?!」


二宮くんの顔が、
すごく、近くにあったから、
思わず見とれちゃった。


残念、びっくりした勢いで
離れちゃったよ。


「おっと、ごめ、黙り込んでるからさ、なんか怖がってるのかなっ~て思って!」


「ごめんなさい!……あれ、敦子は?長谷部くんは?」


さっきまでいたはずなのに、敦子と長谷川くんの姿が見当たらない。

キョロキョロとしてる私を見て、二宮くんがプッと笑った。



「はは、もう出発したよ」


やだ…、恥ずかしい、
笑われちゃった…。


気がつかないほど、
ひとりで考え事していたなんて~~、
私のばかたれ~~!



「岸本さん、怖い?」


「え?…うーん、ちょっとだけ怖いかな」


やっぱり、夜中の神社って、
縁日とは違って薄暗いし、
気味が悪いから、
怖くないと言えば、
嘘だよね。



「怖い時は無理すんなよ?」


二宮く…、
もしかして



「あ、もう1分たった、大丈夫?行けるか?」




二宮くん、優しい人だな、
私のこと心配してくれたんだ。




「うん平気、行こ」



嬉しい、嬉しい。
大好きで泣いちゃいそうだよ?
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