かたっぽうの恋


秀ちゃんからそんな事、
言うなんてびっくりした。



「どうしたの?秀ちゃん」


「…うん」



公園まで手を繋いで歩いた。
タバコ屋の前を通ると公園のすべり台が見える。






「……いつかはお互いに好きな子ができるだろ、そうしたら」


えぇ、そんなことない。
私は今も昔も秀ちゃんが好きなのに!




「秀ちゃん、好きな子いるの!?」


「え?、あ…後ろから車来てるよ」


「わわ…」


秀ちゃんと繋いだ手がひっぱられて、
車が通り過ぎるまで、秀ちゃんの後ろにいた。




大きな背中、

ずーと昔から この背中に守られてきた。





やっぱり、このままの関係がいいなぁ
ずーと、私の事を守ってくれる。



私だけのナイト。




「秀ちゃん、公園行こっか」



私が手を引いても、動かない秀ちゃん







「………」




秀ちゃんは車が走って行った方を、
ずっと見つめて、固まってる



「秀ちゃん?」




「……今の車」




秀ちゃんが低い声で呟いた。



< 94 / 230 >

この作品をシェア

pagetop