めりーごーらんど
SIDE★拓人
今日も綺麗に桜が舞っていた。
俺・・・神谷拓人と春姫ちゃんが出会ったのはこの時期。
俺が春姫ちゃんに告白したのもこの時期。
春姫ちゃんが産まれたのもこの時期。
春には幸せな思い出がたくさんある。
でも・・・今年の春は、辛い思い出になってしまった。
こうすることしか出来なかった。
俺には春姫ちゃんを幸せに出来ない・・・
俺よりも、春姫ちゃんを幸せに出来る人がたくさんいる。
だから・・・春姫ちゃんにとっての俺の存在を消すしかなかった。
こうすることで、春姫ちゃんは幸せになるんだ。
でも俺は・・・
「苦しいなぁ・・・」
自然と溢れだす涙と、心がズキズキする苦しみ。
駄目だ。
自分の幸せなんか考えちゃいけない。
俺は、まるで現実から目をそらすように首を横に振った。
何も・・・聞きたくない。