君の隣で・・・

「瑠李!」


「あ、は、はい…」


「お前はいつも外ばかり見てるな。ちゃんと前見とけ」


「は、はい…すみません…」


ずっと外見てたら先生に怒られた。


なんとなく真希の方を見たら、真希が口パクで「ドンマイ」って言ってきた。


だから、あたしは黙って頷いた。




帰り。


「じゃあね、瑠李。また明日」


そう言って真希は先に学校の門から出て行った。


真希は塾に行ってるから、だいたいいつも、あたしより先に帰る。


あたしは一人で学校の門を出て、いつも朝来てる道を歩き始めた。


もうここからでもあの桜の木が見える。


あたしは毎日、帰りにあの桜の木まで行ってそこでお願いする。


“毎日平和で不幸な出来事が起きず、皆笑顔で過ごせますように…”って。


そうすると毎日、あたしだけじゃなくてクラス皆が笑顔で過ごせてる。


それを見るたび、“あぁ…あの桜の木があたしの願いを聞いてくれたんだ…”って思う。


だから、あたしはあの桜の木がただ好きなんじゃなくて凄く感謝の気持ちもある。


そしてあたしの目の前に一枚の花びらが舞ってきた。


あたしは足を止めて上を見上げた。


するといつの間にか、桜の木の下に来てた。






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