君の隣で・・・
「そういえば、瑠李ってさ、」
「何…?」
「何か凄くおっとりした静かな感じの女子だよね」
「え…」
「喋ってるとわかる」
「…あ、あたし…あんまり人と喋るの…得意じゃないから……唯一話せるの…親友だけ…」
あたしがそう言って俯くと、
「瑠李は人とコミュニケーションとるのが苦手なんだね」
颯くんが笑顔でそう言った。
「…う、うん…」
「なら、俺で練習すれば良いよ」
「…え?」
「人と喋るのが苦手なら俺と話して練習すればいいよ。そりゃ、俺と会える日だけだけど」
「……」
「じゃあ、こうしよう。来年の春までに俺と俺以外の初対面の人に笑顔になれたら合格」
「そ、そんなの無理だよ!」
「大丈夫。第一段階は俺に笑顔を向ける事。第二段階で初対面の人に笑顔で挨拶」
「で、でも!」
「その代わり、俺は俺の夢をかなえる」
「……」
「だから一緒に頑張ろうぜ」
そう言って颯くんはにっこり笑った。