【短編】 ほわいと
「…あ、雑誌買ってきたんだった」
プリンを半分以上食べてから思い出したのか、部屋の隅に追い出されていたビニール袋から雑誌を取り出した果帆。
毎月、果帆が買ってくる女性ファッション誌。
これを、いつも俺のマンションの真下のコンビニで買うのには、訳がある。
「…あ、諒ー、見て見て」
そう言って差し出されたページは、よくある12星座占いのページ。
「乙女座はー……」
実は、これを2人で見るために、果帆はわざわざ俺のマンションまで来る。
俺も、果帆も、乙女座。
なぜか、このページを二人で見るのが癖になっていた。